ピナ・バウシュ 夢の教室


怖がらないで、踊ってごらん。
ダンス経験のない40人の少年少女がピナの下に集まり、「コンタクトホーフ」の舞台に立つまでの10カ月を追ったドキュメンタリー。

原題:Tanztraume - Jugendliche tanzen Kontakthof von Pina Bausch
監督・脚本:アン・リンセル
撮影監督:ライナー・ホフマン


こちらもまたちがう感動があって、よかったなあ。まっすぐで、さわやかで、とても好感の持てる映画でした。少年少女の成長の過程がとにかくものすごくていねいに描かれていて、まさに「寄り添う」といった目線の、映画としてものすごくまっとうな作品。「寄り添う」ようなまなざしとまっすぐなことばで映画全体を包む、ピナのひととなりももちろん映画のトーンに大きく影響していると思う。

それぞれの家庭環境・性格・苦悩はちがうものの、ティーンエイジャーならではの素直さ・さわやかさでもってダンスを媒介に大きく一皮むける瞬間には息をのむし、目頭があつくなる。また先生のキャラもいいんだー。はっとさせられるようなせりふもたくさんあった。

恥じらいや自意識を乗り越えて、ダンスで自分を表現するー。そのダンスそのものにも、プロには出せないティーンの生の魅力というか、本人のチャームをむきだしにして勝負するようなところがあって、その切実さや生命力や一瞬のきらめきみたいなものには、先生が「未熟なんだけど、泣いてしまう」という通り、胸を打つものがありました。よかったー。


★★★★