ラ・ラ・ランド


夢をみていた
第89回アカデミー監督賞/主演女優賞/撮影賞

原題:LA LA LAND
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
撮影監督:リヌス・サンドグレン
編集:トム・クロス
プロダクションデザイン:デヴィッド・ワスコ
衣装デザイナー:メアリー・ゾフレス
音楽監督:スティーヴン・ギシュツキ


去年の出産前から「今年の1本目はこれにしよう」と決めていました。期待しすぎないように細心の注意をはらって。

思ったほど完璧でも洗練されてもおらず、ストーリーは陳腐すぎるし、巷の批判にうなずくシーン*1も多いのだけど、それを補ってあまりある魅力と熱量がありました。嫌いになれない……。

とにかくエマ・ストーンが歌う"Audition (The Fools Who Dream)"に集約されるメッセージと、小沢健二の『流動体について』に通じるような「平行する世界の僕」たち砲に
こころをわしづかみにされて……。

夢が一番うつくしい、それを追っているただなかの若さや情熱も。それを知ってしまった後でも、しあわせでおだやかな今を生きていたとしても、夢をみること・ちがった結末に思いをはせることはやめられないし、その姿がたまらなく愛おしい。
ひとりで夢を叶えた後、ふたりで同じ夢をみることはまぼろしだとわかっているからこその甘美さよ。

ラストの2人のハッピーサッドな笑顔の余韻が、すべてだなあと思います。すばらしかった!どのシーンが一番好きか語り合いたい映画だなと思いました。

叶わない夢、すれちがう恋、色あせていく情熱、終わってしまう夏休みがたまらなくうつくしくみえるのが映画だよな、としみじみ思いました。


★★★★

*1:John Legend問題とか映画館マナー問題とかジャズ問題とか