パラサイト 半地下の家族

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2019年(第72回)カンヌ国際映画祭パルム・ドール
2019年度(第92回)アカデミー賞作品賞/監督賞/脚本賞/国際長編映画

原題:기생충
英題:PARASITE
監督・脚本:ポン・ジュノ
脚本:ハン・ジヌォン
撮影:ホン・ギョンピョ
編集:ヤン・ジンモ
プロダクションデザイナー:イ・ハジュン
衣装:チェ・セヨン
ヘア&メイク:キム・ソヨン
音楽:チョン・ジェイル


待ちきれない!ということで先行上映へ。2020年映画初め!
もうずーっと「なんという鮮やかな……!!!」と思いながらの鑑賞。目を見張るような高度な映画的技術と非常にわかりやすいエンタメの両立。要素全盛りなのにすっきりと整理されていて、なおかつ鑑後感としては深い哀愁が残る。ポン・ジュノ すごい!すごすぎる!

 


ストーリーは、ネタバレ厳禁と言うほどどんでん返しでも、奇を衒ったものでもないと思う。むしろ韓国映画の王道と言ってもいいような気がする。
ただ、そのテンポと観せ方が圧巻で、序盤から一気に引き込まれてしまった。徹底的な高低差演出と散りばめられたメタファー、人物と場所の置換を駆使したテーマの強調、そしてそのリフレイン。話の瑕疵に立ち止まらせない、畳みかけるような展開とユーモラスな語り口。『クリーピー』を思い出させる第一の直下展開まで、一気にかっさらわれる気持ちよさったら……。

興奮の冷めないテンションをずっと維持しつつも、時折差しはさまれる哀愁あふれるシーンの抒情性もすばらしい。庭に面した巨大な窓から雨降りを眺めながら、一家身を寄せ合ってする酒盛りの席のつましさ。「この家が手に入ったらどの部屋を取る?」という夢の話は、今こそが最高の瞬間で、その夢が決して叶わないであろうことを観客に予感させる。
クライマックス手前で、「おれはここに似合っているかな?」と問う夢から醒めたギウのまなざしが忘れられない。このやるせなさは、『バーニング 劇場版』の空気感にも似ている。

ポン・ジュノらしい、映画的昂奮に満ちあふれたシーンや血の通った描写もたまらない。「時計回りで」には爆笑したし、ジャージャー麺をつくるチュンスク姐さんの躍動感には感動すら覚えた。人に殺意を抱くのも、一線を踏み越えるのも、「におい」がトリガーという描写は、端的かつ本能的で、このうえなく納得がいくものだった。
ソン・ガンホ曰く「階段を上がろうとしていた男が、階段を下りて終わる話」。


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