きみの鳥はうたえる

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この夏が、いつまでも続くような気がした
きらめきに満ちた、
かけがえのないときを描く、青春映画の傑作

監督・脚本:三宅唱
撮影:四宮秀俊
美術:井上心平
衣裳:石原徳子
音楽:Hi'Spec
原作:佐藤泰志


大好物の「青春の甘酢ときらめき」「モラトリアム/夏休みの終わり」映画でありつつも、あまりにも自分に近すぎて、古いかさぶたをはがされるようにも感じた。なつかしくてなつかしくて目が眩んだ。Wasted Youth! 使い果たしてしまったもの。

とにかくあの3人組に恋せずにいられようか!三人とも芯に品と清潔感のある色気が漂っていて気持ちが良い。
とくに石橋静河さん。おそらく函館三部作がなくとも、わたしはこの作品から山下敦弘監督を思い出したと思うのだが、『オーバー・フェンス』の聡に通じる「運命の女の子」感!蒼井優と同じく、自分が男だったらこういう女子にひっかかり続ける人生だったろうな…って気がするんだけど、もっと同性としての好きポイントも多くて無敵。*1しなやかで体が利く女性、末代までの憧れだよ。彼女のダンスと一撃必殺の『オリビアを聴きながら』だけでも、この映画を観る価値はあると思う。

あと、個人的には、柄本佑の役が…シャレにならないほど元カレそっくりで……。
服や体型、発想や行動や受け答えまで*2、青春*3再放送すぎて気が遠くなりました。キャストは皆総じてすばらしかった。最高のゲロ吐くあいつも笑。

伸び縮みするような夜、存外高くついてしまったコンビニ、クラブでしか味わえない多幸感、朝帰りの白み始めた空、酒酒酒、着ている服が示す関係性、面倒くさくないはずの関係。雰囲気としては、フィッシュマンズや青い果実、やけのはらの『THIS NIGHT IS STILL YOUNG』を思い出したりも。
函館なのに、やはり自分は強く東京を思ってしまった。

ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング

ディス・ナイト・イズ・スティル・ヤング


★★★★


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三宅唱監督と山本亜依さんが登壇するトークイベントで、質問当てていただきました。

せっかくなので、山本さんの出演シーンで印象的だった「若さってなくなっちゃうものなのかな?」という科白について、お二人の考えを伺ってみました。
山本さんは「23才なんですけど、高校生とか見るとめっちゃ若いって思っちゃうんですよ」「でも自分も若い時から基本的には変わっていないと思うし」と。か、可愛い。
三宅監督はまず一言「今持っているものは必ず失われると思う」と。「ただ、次の段階にも必ず次の新しさ(若さ)があると思う」とおっしゃっていました。知的で力強い回答。
二人で「函館のひとたち、めっちゃアクティブだったもんねー」と笑っていて、とてもチャーミングでした。

*1:骨格がうつくしくて、健康そう。性悪度/メンヘラ度が低そう。(個人の勝手な印象です)

*2:ハードワーカーなところと社交的なところが決定的に違うのだが…

*3:というにはあまりにも遅いし近過去なのだが…