サイダーのように言葉が湧き上がる

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サイダーのように、甘く弾ける、少年少女たちの青春ラブグラフィティ!
コミュニケーションが苦手な少年
マスクで素顔を隠す少女
十七回目の夏に君と会う

監督:イシグロキョウヘイ
脚本:佐藤大
キャラクターデザイン:愛敬由紀子
音楽:牛尾憲輔
原作:フライングドッグ


監督と同い年だからか、本作に散りばめられた「カワイイ」「スキ」に「わかる……」ってなりました。登場人物の心情に合わせてサイダーがはじけるように変化する風景…かわええ~~~!
ストーリーはちょっと弱いとは思うのだけれど、打ちあがる花火のなか俳句を詠むクライマックスは、青春と甘酢が炸裂していて、ベタだけどぐっときてしまった。

もともと「俳句」という文化にかなりエモを感じるのですよね……。青春映画に「俳句」というモチーフとても合っていたし、なにしろ劇中の俳句の出来そのものがよかった。音楽映画の演奏シーンがへぼいと映画全体がだいなしになるのと同じで、劇中のこの肝心の俳句がダサいと話にならないと思うのですが、「夕暮れの フライングめく 夏灯」がキマった瞬間勝ち確。この作品の雰囲気をぎゅっとパッキングすると同時に、この作品自体をも底上げするすばらしい句だと思います。

劇中歌の大貫妙子の起用にはニヤリとしたけれど、郊外のショッピングモールを舞台にシティ・ポップ的センスでボーイ・ミーツ・ガールを描く、というのはわたしにとっては完全にtofubeatsなので主題歌オファーしてほしかったなぁぁぁというきもち(『寝ても覚めても』の「RIVER」もびっくりするくらい良かったので)。


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あと、市川染五郎の声とても合っていたんだけど、クライマックスのシャウトは脳内で神木くんに変換されてしまったので、「神木くん…おそろしい子…!」ってなりました。


★★★★