もしも僕が天才だったら。
監督・脚本:藤井道人
脚本:アベラヒデノブ
原案:おかもとまり
高畑裕太逮捕によるお蔵入りの危機を乗り越えた今作。無事に公開されて、ほんとうによかったし、スタッフ・キャスト陣は苦労や感慨もひとしおだったろうな、と。その気合いや想いが垣間見える、入魂の一作という感じでした。
2018年のベストを語るオフ会で好評を聞いていたので、甘酢乞食としては、とても楽しみにしていました。ただ、この作品、ストレートな青春モノと思っていたら痛い目みるやつやった!ポスタービジュアルはある意味ミスリード!
前橋の高校を卒業した仲良し7人組のその後と帰還を描いている本作。つまり、甘酢どころか苦み成分 最大量配合案件。「こんなはずじゃなかった」という挫折と、各々がそれをどうにか受け容れていく、という話なのである。
劇中のように、ここまで進路が分かれなかったとしても、友だちと各個孤戦状態になる時期は誰しも必ずあって、「大人になる」きっかけやタイミングもそれぞれで、その痛みや残酷さが胸に迫ってきた。
そんな傷だらけの子どもたちを見守る、親の目線は理想的。ここで描かれているような、子どもが夢破れた時に動じない足腰の強さは努力目標だなぁと思うし、何度も涙してしまった。
だからこそ、できちゃった婚カップルの葛藤が描かれないのは軽率というか…ちょっと安易な気がした。彼らこそ7人の一番早い時点で、修羅場を迎えているはずで、「いい家族」に終始してしまっている描写が唯一残念だった。
とにかくキャストが皆すばらしくて、とくに森永悠希には思わず「机くーん!」と叫んでしまった。
旬のキャストのきらめきを切り取っている、という点でもあざやかな青春映画。すべてを表すようなタイトルが秀逸。
★★★★