アルプススタンドのはしの方

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そこは、輝けない私たちの
ちょっとだけ輝かしい特等席。

監督:城定秀夫
脚本:奥村徹
撮影:村橋佳伸
録音:飴田秀彦
サウンドデザイン:山本タカアキ
スタイリスト:小笠原吉恵
ヘアメイク:田中梨沙
原作:籔博晶(兵庫県東播磨高等学校演劇部)
主題歌:the peggies


大大大好きな『桐島〜』に言及するレビューをちらほら見かけて、矢も盾もたまらず観てきました。すばらしい75分の使い方!まさに一服の清涼剤!

とにかくみんないい子……!誰も闇落ちしない折り合い方が、さわやかでまぶしい!応援すること、想いを託すことが尊い
とくに終盤の熱いエールの連打(藤野→宮下↔︎久住)にはぐっときて、めちゃくちゃ泣いてしまいました。そもそもわたしの母校には野球部がなかったので、「吹奏楽で運動部を応援する青春」アコガレる〜〜〜!

ただ個人的な好みで言うと、ちょっとクリーンすぎるかな、という感じも。
まず、脚本と人物の動かし方が上手すぎて、感動を超えて感心してしまった。そして、陽炎がたちのぼる野球場で汗一つかかない画に象徴されるように、設定や監督の采配、「真ん中のつらさ」にやや詭弁を感じてしまった。わたしは、あの感じ悪な吹奏楽部の2人組にこそ妙に親近感がわいてしまうクチなのです。

でも、今の若い子の青春ってこれがリアルなのかもしれないな、とも思う。世の中の常識が急速にアップデートされて、映画の中も、少し前まで定番だった描写がアウトと見なされたり、もう「多様性」や「それぞれの立場や事情」はベースになってきている気がする。近所の子と接している限り、みなとても礼儀正しくてしっかりしているし、映画観て老害化を防がなきゃな……と思う。


★★★