カラオケ行こ!


青春も延長できたらいいのに。
歌がどうしてもうまくならないといけないヤクザは、変声期に悩む合唱部の中学生に歌のレッスンを頼んだ。

監督:山下敦弘
脚本:野木亜紀子
撮影:柳島克己
編集:佐藤崇
美術:倉本愛子
装飾:山田智也
衣装:江口久美子
音楽:世武裕子
主題歌:Little Glee Monster
原作:和山やま


原作既読。座組が発表されたときは正直「監督&脚本は間違いなさそうだけど、綾野剛が狂児かー⤵」と温度低めの反応だったのですが……。冒頭の雨に濡れそぼった白シャツはりつき綾野剛見た瞬間なぜか村上春樹になったよね。「やれやれ」と。え?こう来る?こういうこと?野木亜紀子先生こっわ!
蓋を開けてみたら、山下敦弘監督の一曲を爆発させる力も、綾野剛の色気も、齋藤潤の和山やま顔っぷりも、ずるすぎてサイコゥ!サイコゥ!サイコゥ!でした!

まず、映画として秀逸な山下敦弘監督印の青春/モラトリアム映画になっていたのが良かった。原作に足されたピースがことごとく成功している。紅の訳詞。虎柄の音叉。お父さんが選んでくれた傘。ほかほかごはんの上に放られる鮭の皮。和田くんの厨二っぷり。映画を見る部の巻き戻せないVHS。

ポスターかわいすぎる。ビジュアルイメージが最高なのはもちろん、『バック・トゥ〜』は青春感や時空を超えて助けに行く感、『E.T.』は異星人との邂逅、『ラ・ラ・ランド』はまぼろしのように過ぎ去った恋、というように映画のテーマとばっちりリンクしているのが良い!


原作ファンが憂慮していた「ここをこうされたらきついかも」という部分も丁寧に調整されている。和山やま先生の笑いの感覚やBL要素がきちんと映画に翻訳されている感じ。聡実くんが家にも学校にもきちんと居場所がある上で狂児に惹かれていく、という描写になっていたのも精神衛生上良かった。さらに、実写化したらこんなに楽しいんだ!というヤクザのカラオケ講習会、合唱部のゆるい感じ。極めつけに、ここがエモくなけりゃどうしようもないという聡実くんの熱唱シーン!笑いと涙が同時にこみあげてくる超カタルシスをいただきました。

あとは、とにかく老若男女人類すべてをたらせる綾野狂児の魅力よー!あの「聡実くぅ~ん」は忘れられないよ。わたしもあんなまんがみたいな足に生まれたかった!あの狂児を浴びたいがためにDVD買ってしまいそうな自分がいます。もはや中毒。

ファミレスも行こ!


★★★★