ナイアド その決意は海を越える


心揺さぶる感動の実話

原題:NYAD
監督:エリザベス・チャイ・バサルヘリィ、ジミー・チン
脚本:ジュリア・コックス
撮影:クラウディオ・ミランダ
編集:クリストファー・テレフセン
美術:カーラ・リンドストロム
衣装:ケリ・ジョーンズ
音楽:アレクサンドル・デスプラ
原作:ダイアナ・ナイアド

なるほど!監督は『フリーソロ』の夫婦コンビなのかー!常人ならざるアスリートを題材にする確かな手腕に加えて、今作は監督初の劇映画ということで、ドキュメンタリー以上にド直球の感動と勇気がもらえるドラマになっていた。

偏執的にすら見える情熱と野生動物のようなエネルギーで、過去の自分を乗り越えようとするダイアナ・ナイアドの姿が美しいのはもちろん、なにしろサポートチームのキャラや距離感の描写がすばらしかった。無償でサポートする葛藤を抱えつつ、「退屈させない」「冒険」を選んでしまう姿にもまた元気をもらえる。
MVPはなんと言ってもジョディ・フォスター!「あんたが誰よりナイアドよ」には泣いた。スターの脇で人生を狂わされてしまう人間はごまんといるだろうけど、「自分の人生の主人公は自分」と決めたうえでそれでもナイアドのそばにいることを選ぶのが本当にすてきだ。最高のバディ!

誰もが警戒を解いてしまうようなカラッと明るいオーラを常に放っていて、演技でこの佇まいの説得力を出せるのすごいなと思いました。アネット・ベニングとの掛け合いも阿吽の呼吸で小気味よかった。

60代になっても友だちをだいじに元気でがんばろうと思えました。(小並感)わたしも中年になってから始めた勉強やスポーツがあって、運動神経や記憶力の衰えに悲しくなったり、「もっと早く始めていれば…」と悔やんだりすることもあるのだけれど、理解力や向き合い方、なにより切実さは若いときよりアドバンテージがあったりする。この年になると、才能がなくてもあきらめずに続けていけば多少なりとも上達はするということがわかる。若いときは成果を焦って、人と比べたり、思うように結果が出ないと嫌になってしまったりするけれど、中年になると自己満足だと割り切って立ち向かえるなーと思ったりします。ナイアドが60代にして精神面でも大きく成長するという描き方になっていたのもとても良かったな。「個人競技だと思っていたけれどチームスポーツよ」にはやられた!


★★★★