メゾン・ド・ヒミコ

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涙は きっと 暖かい
ゲイである父・ヒミコ(田中泯)を嫌い、存在さえも否定してきた沙織(柴咲コウ)に、「ヒミコが癌で余命幾ばくもない」と知らせに来たのは父の若くて美しい恋人・春彦(オダギリジョー)。会いに行った父が住んでいるのは“メゾン・ド・ヒミコ"ーゲイのための老人ホームだった。

監督:犬童一心
脚本:渡辺あや
音楽:細野晴臣


この映画は引く前からもう当たりクジだということがわかってて。万全な体調で・気が置けないひとと・空いてる映画館のいい席で観る、っていうこっちも100%の状態で挑んできました。

結果、ちょーよかった!!!感情が揺れまくって、泣き笑いになる映画ってそうそうお目にかからない。これは言葉でうまく表せないので、みんな観に行くといい。犬童一心監督は「ある種の壁のようなものを乗り越えようとする人たちの話」と言ってまして、そこにまつわる愛と性と生死の描写がすばらしい。壁を超える限界を確かに描きながらも、それでも人生って美しいと思わせてくれる映画です。

特に好きなシーンが2コあって。
1コ目は春彦が西島秀俊とやるやらないという話をするシーン。ヒミコと出会うまで天涯孤独だった春彦が愛する人が死につつある様を目の当たりにして、「生きていたいって思えなくなる」と言い、「美味いもの食いてーとかあいつとやりてーとか俺が欲しいのはそういう欲望なんだ」と言う様は絶望的に切実。ヒミコが寝てる部屋で春彦は沙織にその話を始めるんだけど、沙織が「(ヒミコが)聞いてるかもしれないじゃん」と気を遣うところもすごくいい。嫌いって言ってるくせに。愛憎入り乱れる感じがすごくいい。

2コ目はもちろんダンスホールのシーン。あのシーンが1番激しく泣き笑いました。だって尾崎紀世彦の「また逢う日まで」(サワサキヨシヒロRemix)だよ!?んでちゅーだよ!?反則だよー。

柴崎コウの嫌悪感溢れるまなざしがどんどんニュートラルになってくのが印象的です。こどもみたい。

好きなひとと観に行くといいと思います。映画の後、合コンで会ったひとと飲みいく予定だったんだけど、「今日はもうどーでもいい人とは会いません!」と思いキャンセル。それくらいこの映画に引っぱられました。愛するダーリンがいれば、手をつないで観たい、などと乙女モード全開になってしまった私でした。えへ。でも男のひとがこの映画にどう反応するのかイマイチ想像つきません。
何はともあれ、もう一回観にいこーっと。


★★★★