イングロリアス・バスターズ


悪名こそ、彼らの名誉(グロリアス)。
ナチスに家族を虐殺された美貌の女と連合軍のゲリラ部隊「イングロリアス・バスターズ」が大暴れ。
第82回アカデミー助演男優賞

原題:INGLOURIOUS BASTERDS
監督・脚本・製作:クエンティン・タランティーノ


土曜に5件くらい「観た!?感想聞かして」メールが。わたしは『デス・プルーフ』がそうだったけど、思わず興奮して友だちにメールを送ってしまうたぐいの映画というのが確実にある。夏に砂糖をまいて、それにたかる蟻を「コレがアートだぜ!」と言うあいつ。そんなあいつの最新作!ラヴ・タランティーノ!!

だいたいヒロインのオーディションが「最初はクエンティンと台詞のやりとりを演じたの。ほかのキャラクターはすべてクエンティンが演じて。」だよ?爆笑でしょ。ちょう見たいよ、そのようす。

そんなあいつのゆかいさゆえに、冷静に作品を観ることができなくなってしまっているのですが、今回もものすごくたのしめました。声出して笑っちゃった。ふつうに決め球のギャグがおもしろいっていうのもあるんだけど、なんかドーパミンとかアドレナリンとかそういう脳内麻薬が出ちゃって、ナチュラルハイ状態で笑いがもれちゃうって感も。

今回感心したのは、いよいよタランティーノも巨匠めいてきたなあ、という懐のふかさ。撮り方に余裕を感じました。いくらでも広げられそうなエピソードをざっくりカットして、見応えあるシーンに力と尺を注入。あいもかわらぬせりふの妙。音楽づかいのセンス。なにしろ緊張と緩和のめりはりが巧すぎる。2時間半の作品ですが、2時間くらいに感じられました。

欲を言えば、ブラピはもっと粗末な扱いでもよかったんじゃないか、というところと、ラストはもうちょいひねってもよかったんじゃないか、というところ。多言語マスターだったら、もっとたのしめたんだろうか、と思うとくやしい。


★★★★