シュガーマン 奇跡に愛された男


驚くべき人生に胸が震える―
1970年代にアメリカでデビューした後、アパルトヘイト下の南アフリカで支持された伝説的ミュージシャン・ロドリゲスの数奇な運命を追ったドキュメンタリー。
第85回アカデミー長編ドキュメンタリー賞

原題:SEARCHING FOR SUGAR MAN
監督:マリク・ベンジェルール
撮影:Camilla Skagerström
編集:マリク・ベンジェルール
音楽:ロドリゲス


まずもってロドリゲスのこと全然知らなかったので、ふつうに歌詞*1のかっこよさにふるえてしまった。反権力・サグい生活などストリートに根差したリリカルな歌詞が、ヒップホップだいすきっ子のわたしのハートを直撃。

シュガーマン 急いでくれないか
こんな景色には もう うんざりなんだ
青いコインをやるから 俺にまた
極彩色の夢を見せてくれ
銀色の魔法の船に乗って あんたは
コカインやマリファナを運んでくる

「奇跡に愛された男」という副題がついているけれど、逆にデニス・ コフィーやマイク・セオドアに見いだされて、こんなにすばらしい楽曲をSUSSEXから切ったのに売れなかったなんて、ツイてないなーと思ってしまいました。

印象的だったのは、やはりロドリゲスの人となり。いっちょうらのスーツで出勤するという姿勢で臨んでいた肉体労働者としての彼も、大観衆の前で歌う謎めいたカリスマとしての彼も、基本まったく変わらないたたずまいなのがすごい。やはりこのひとはオンリーワンで、この奇跡的な道筋もたどるべくしてたどったのだなあ、と思わされました。

ロドリゲスの3人の娘の様子を見ていても、彼が非常に地に足のついたひとであることがわかるし、たとえアメリカで売れていたとしても彼の姿勢は変わらなかったんじゃないかな、と思います。尊敬するわ―。


★★★