風立ちぬ

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生きねば。
ゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルに、大正から昭和にかけての戦争/大震災/不景気を背景に、飛行機作りに情熱を注いだ青年の姿を描く。

監督・脚本・原作:宮崎駿
撮影監督:奥井敦
作画監督高坂希太郎
美術監督武重洋二
音楽:久石譲
主題歌:荒井由実ひこうき雲


なんも言えねー。鬼気迫るものを感じました。これはもうつまり、宮崎駿というひとの生き方を受け入れるか受け入れないか、という映画になっている。その若々しすぎる夢や情熱や妄執や偏愛の表現に深く深く感動しながらも、天才の狂気に背筋がすうすうする場面も多かった。

例えば、結核を患う最愛の妻の前で煙草をすう場面や、帰らぬゼロ戦について淡々と語る場面。多くの屍の上に成した自分の夢の罪深さを知りながらも、たどりついた地獄とも天国ともつかない場所に悲壮感はまったくない。

その達観したかんじとか、飛行機がとぶ画を観てるだけで涙が出てくるかんじは、PTAの『ザ・マスター』を観てるときと近い感覚があった。

ザ・マスター [DVD]

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  • 発売日: 2013/09/20
  • メディア: DVD


あとは、呪われた夢と夫婦にしかわからない愛の形というモチーフは、『アキレスと亀』を思い出したりも。

アキレスと亀 [DVD]

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  • 発売日: 2009/02/20
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と、まぁ畏怖の念はぬぐいされねども、基本的には、小市民的に黒川さんの「感動しました…!」の一言に尽きます。まさしくジブリ描写みたいないきおいで、涙ぼろぼろ噴き出してしまったし…。
最終的に「長生きして撮りつづけてください!誰かのためじゃない あなた自身の願いのために!」と思ったので、やっぱり庵野監督の起用は必然。


★★★★★