キャロル

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このうえもなく美しく、このうえもなく不幸なひと、キャロル。
あなたがわたしを変えた。
1952年のニューヨーク。カメラマンを目指すテレーズは、娘の親権をめぐって離婚訴訟中のキャロルに惹かれていき……

原題:CAROL
監督:トッド・ヘインズ
脚本:フィリス・ナジー
撮影:エド・ラックマン
編集:アフォンソ・ゴンサウヴェス
美術:ジュディ・ベッカー
衣装:サンディ・パウエル
音楽:カーター・バーウェル
原作:パトリシア・ハイスミス『The Price of Salt(Claire Morgan名義)(キャロル)』


終映後、思わずほうっとためいきをもらしてしまうような、じっくりコトコト煮込んだ、繊細で上質な映画。
ケイト・ブランシェットルーニー・マーラの言葉で尽くせないような心のひだの描写、すごかった。恋愛というものの途方もなさよ。

まだ海のものとも山のものともわからない若者のむこうみずさと、己を痛いほど知ってしまったゆえにもがく大人の不自由さは、とても普遍的にみえて、同性愛に違和感を感じなかったです。

むしろテレーズのBFの「女が好きなのか」という詰問に対して、「話が通じるから好きなのよ」という切り返しは、このうえなくまっとうで、「たしかに快適に暮らすなら、同性のほうが向くよな……」とすら思いました。なにしろ魅惑のキャロルを演じているのがケイト・ブランシェット様なので、「わたしも!ケイト様と!旅に出たい!」という欲望が掘り起こされて、ああ。


★★★★