ウィ・アンド・アイ

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僕たちの物語は始まったばかりだ
学期末の下校バス内の高校生たちを描く群像劇。
3年に及ぶインタビューの後、ブロンクスのコミュニティー・センターに集う地元の高校生たちを起用したリアルな青春ドラマ。

原題:THE WE AND THE I
監督・脚本・共同製作:ミシェル・ゴンドリー
脚本:ポール・プロック / ジェフ・グリムショー
撮影監督:アレックス・ディセンホフ



『僕らのミライへ逆回転』の時にも書いたけど、PVでなく映画に限って言えば、ミシェル・ゴンドリーはドキュメンタリー的なモチーフのほうが向くと思っているので、今回はバッチリじゃないすか!
ブロンクスの街並みを走りながら、RUN DMCからBoards of Canadaへ、夕方から夜へ、建前から本音へ、集団から個へ―刻一刻と変わっていくバス内をスケッチするなんてにくすぎる!そしてなんたる俺得!!ありがとうございます!!!

バスが停留所に止まるたびに、バス内のクラスタがどんどん解体していき、パーソナルな交流が一点に集約していくさまは、やっぱり『桐島、部活やめるってよ』を思い出さずにはいられない。『桐島』と比べるにつけ、全くアメリカってのはパワフルでオープンでストレートで親密で陽だなあ、とかるくカルチャーショック受けるのだけど。
自分があの集団の中で生き残れるとはとうてい思えないし、あまりの狂騒ぶりと幼稚さ*1に鼻白むところもなくはないんだけど、やっぱりみんな憎めないし、この小宇宙をもっと見ていたいなあってきもちにさせられてしまう。

いいシーンたくさんあったけど、とくにマイケル(a.k.a. 『桐島』で言うところの宏樹)が2つの携帯を手にする瞬間は、ティーンエイジャーの残酷さとまぶしさがぎゅっとつまったすばらしいシーンで、思わず息をのんでしまいました。

あとはなにしろ全編通してどっぷりブロンクス感とオールドスクール愛が堪能できるのが、最高最高だと思うよ!



公開館すくなすぎるのが非常にもったいないです。


★★★★

*1:なにしろ老婦人に「猿はアフリカに帰りなさい!」と怒られる始末