『ラ・ラ・ランド』監督がハリウッドを舞台に描く、夢と音楽のエンタテインメント
原題:BABYLON
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
撮影:リヌス・サンドグレン
美術:フローレンシア・マーティン
衣装:メアリー・ゾフレス
編集:トム・クロス
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
2~3月、空前絶後の期待作公開ラッシュで、映画ファンはうれしい悲鳴ですよね。全部は観れない…どれを優先させれば……と頭を悩ませるなか、正直この映画はスルーかな?と思っていました。長いし。しかし!「今回のチャゼルとは解釈違い…」という感想が散見され、どーーーしてもわたしも確かめてみたくなってしまったのです。わたしは『ファースト・マン』(チャゼルの中で一番好き)で号泣したし、『ラ・ラ・ランド』も好きで、どちらも年間ベストに入れているくらいなのですが、なんとなく好きな監督にチャゼルを挙げられない。なんでだろう?ということで観てきました。
結果、楽しかったけど、今までのチャゼルで一番解釈違いだった。友だちとお酒のんで踊りながら発声上映したら楽しいだろうな~と思いながら観ました。
出だしは即物的なアプローチに全くのれず。(エログロ吐瀉物をそのまま見せられても全く心が動かないんよ…。)どうしても『OUATIH』のタランティーノと比べてしまった。ネリー&マニーのしごでき成り上がりエピソードあたりからは上がってきて、ブラピが儚げな悲哀かもし出したあたりまでは良かったんだけど、終盤はだんだんどうでもよくなってしまい、「チャゼル待って〜わたしそのバス乗り遅れてるから〜〜〜」と脳内で呼びかけてました。
チャゼルは個々の映画の内容よりも位置づけ、映画史の流れやスターの栄枯盛衰に興味があるひとなのかな?という気がしたし、好きな映画は同じでも好きなポイントは全然ちがうひと…という感じがした。すごく卑近なたとえで恐縮なのですが、映画全体が「微妙にツボをはずしたセックス」のようで、「悪くないし、要素要素は好きなはずなんだけど、そこじゃないんだよな~~~」がぬぐえなかった。「映画愛」より「地獄の沙汰も金次第」風味の方がつよくて、それなら映画の話じゃなくても良かったんじゃないかな?と感じてしまった。
ただ(これは音楽の力が大きいかもしれないけど)元気は出るし、コロナ禍でパワー持て余してたよね…となぜかほほえましい気持ちになる、嫌いになれない映画でした。
以下、ほほえんでしまったポイント
- 絶対『OUATIH』や『NOPE』と比べられるとわかっていながら我慢できずに直球でいってしまった感
- コロナ禍つまんねーーーッ!自粛とかやってられっか!という気概
- 変態性癖パーティーの描写がだるすぎるチャゼルはいい子
- トビー・マグワイアめっちゃ喜んでてかわいい
- ディエゴ・カルバの表情管理
★★★