生きているのは、おとなだけですか。
今まで観た映画の中で、たぶん1番泣かされた作品だと思う。
是枝監督は『甘く聞こえてしまうのは本意ではないのだが、もしそばにいたら、僕は彼の肩を抱いてあげたいと思ったのだ。』と演出ノートに書いていて、ソレに私はまんまとハマった。。。
男の人が弱っているというシチュエーションに弱いうえ、柳楽くんが劇中で泣かないので、代わりに私がじゃんじゃん涙を流すという事態になりました。
この人の作品はいつもそうなのだけど、何となく捉えどころがない。温かいのか冷たいのか、リアルなのか不自然なのか、近いのか遠いのか、好きなのか嫌いなのかがよくわかんない。ただ、あぁ何だかんだあるけど、それでも生きてくしかないということを淡々と思いました。
そもそもレールに乗ってないっていう恐怖、本能的な死への恐怖に晒されていく子供たちがあんなにイノセンスを持続できるとは到底思えないし偽善臭がするって疎ましがる人もいるとは思う。でも「これはちょっと業物だな」と思うシーンやエピソードがいくつもあるし、キャスティングも妙!柳楽くんの透徹目線とか京子の生気のなくなってく目とかやっぱりすごい。ラスト近くで入る、唯一の歌詞つきの楽曲であるタテタカコの「宝石」に至っては、もう返す言葉もなし。
是枝監督着想から15年を経ている作品というだけあって、何となく立ち向かえない雰囲気。
★★★