あの日、欲望の大地で

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愛の傷なら、いつか輝く。
シャーリーズ・セロン×キム・ベイシンガー

原題:THE BURNING PLAIN
監督・脚本:ギジェルモ・アリアガ(『バベル』『21グラム』脚本家/長編初監督)
音楽:ハンス・ジマー / オマー・ロドリゲス・ロペス


美人で仕事ができて超ビッチの高級レストラン・マネージャー、シルヴィア。それは世を忍ぶ仮の姿で、実は彼女の正体はあいあんまん!ていう話だったらいいのになー、と思いながら鑑賞。シルヴィアの苛烈な人生がアリアガの巧みな脚本であぶりだされる。ああ、思わず頭を抱えたくなる。つかれちゃうよ!

昔の少女マンガもしくは昼ドラもかくや!!だけど下世話にならないのは、2大女優の風格とアリアガ得意のパズル的脚本の力なのでしょうか。ドアと窓で、いろいろな時間のいろいろな登場人物がつながっていくシーンとかやっぱりぐっときた。

「母とは不完全な女」というテーマからはよしながふみの『愛すべき娘たち』を、すべてを帳消しにして「ここではないどこか」を求める切実さと求めるほどに逃げ場がなくなるかんじからは、『レボリューショナリー・ロード』を、女を傷つけられるのは女だけなのかもしれない、というかんじからは、江國香織の『ホリー・ガーデン』を、荒涼とした自然×不倫の描写からは、『ブロークバック・マウンテン』を思い出したり。なにかと感慨深い作品でした。





男のひとの性はどことなくおかしくかわいらしく描けるのに、女のひとの性はどうしてこんなにも業深くなってしまうのか。

「好きだったけど、嫌いだった」という、まさに愛憎相半ばなせりふがあるのですが、欲を言えば、シャーリーズ・セロン×キム・ベイシンガーの愛の部分をもうちょっとしっかり描いて欲しかったと思いました。そのほうがより憎が迫ってきた気がする。




★★★