そこのみにて光輝く

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すべての終わり、愛の始まり。
愛を捨てた男と、愛を諦めた女。
函館の一瞬の夏を舞台に、二つの魂が邂逅する。

監督:呉美保
脚本:高田亮
撮影:近藤龍人
編集:木村悦子
美術:井上心平
音楽:田中拓人
原作:佐藤泰志そこのみにて光輝く


信頼できる友だちに「ヤバい」と薦められて。
おぉー、苦しい。菅田将暉が出ているから、という理由だけでなく、『共喰い』を思い出させられました。それも原作のほう。極端に閉鎖的で、他人には伺い知ることのできない超個人的な男女(もしくは家族)間の業の深さとか、胸やけする様な田舎感とか、まさに。

その菅田将暉。映画『共喰い』を観た時は、『ヒミズ』染谷将太と比べて、染谷将太一歩リードかなーと思っていたのですが、今作すばらしすぎる。どえらい存在感。そういう役柄っていうのもあるけど、光をまき散らしているかのように見えて、つい目で追ってしまう。菅田将暉のシーンだけでも、十分「チンピラ過ち」映画として堪能できる。例えば、『キッズ・リターン』とか『ヒーローショー』とか『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』みたいに。


そしてはちきれそうな業深感と重量感を体現しきる池脇千鶴のすさまじさよ。本編とは関係ないけど、肉のつき方におそろしいリアリティを感じました。*1

それに比べると各地で絶賛されているけれど、わたしはやっぱり綾野剛さんにピンと来ず。どうしても都会のにおいがしてしまう。あと「クサいな」と感じてしまう演出がちらほら。*2
この2点で映画から醒めてしまう瞬間が何度かありました。でもここがないと抜けがなさすぎて、重苦しくなりすぎるかしら。


★★★

*1:自分の一歳下なので

*2:事件後、アパート前での達夫と拓児のやりとりとか