君といれば、無敵。
80年代、大不況下のダブリン。
僕らバンドのPVで、憧れのロンドンを目指した―
爽快!感涙!青春音楽映画の傑作、誕生。
原題:SING STREET
監督・脚本:ジョン・カーニー
撮影監督:ヤーロン・オーバック
編集:アンドルー・マーカス / ジュリアン・ウルリッチ
主題歌:アダム・レヴィーン『GO NOW』
How many いい顔。観る前からわかってたよ…くらっちゃうって。最高かよ……。ひさしぶりに青春・甘酢乞食の自分を爆発させてくれました。ジョン・カーニー監督の半自伝的青春ドラマとあって、彼のフィルモグラフィの中でも、最もエモーショナルでメッセージ性が強い。
自分はもっとシニカルでメランコリックな青春映画も大好物だし、*1
あたしが あたしたちが フツーじゃなきゃって思うのはたぶん
フツーじゃない人にはなれないから
特別な持ち物を持ってないから
学生時代を思い返してみても、『桐島〜』の空気に浸食され、『HER CASE.3』(ヤマシタトモコ)の目線を捨てきれないけど。
だからこそ、この映画の何にぐっときたって、若者のむこうみずさを全力で肯定しているところ。ここまでストレートに「いけ!」と背中を押す姿勢と、ベタな展開をおそれない強さは、いま逆にフレッシュだな、とみとれてしまいました。マドンナの『ワンダーラスト』でもらった勇気を思い出したり。
結果、「Drive It Like You Stole It」のPV撮影シーンでは号泣ですよ。プロム!バック・トゥ・ザ・フューチャー!でも妄想! なんだよ!こんなに完璧でうつくしいPVない。心のなかでずっと「こ、ころす気かーーー!」って叫びながら観てました
さらに、長子たる観客の怨念を一身に背負うようなキャラのおにいちゃん!そのおにいちゃんの気持ちを代弁するようなラストの「Go Now」。その歌詞に押し出されるかのように、荒波に立ち向かっていく主人公の表情。他人の評価や結果がどうあれ、その瞬間の情熱の尊さはゆるぎない。DVD買って、何回も観返したい映画です。今年暫定1位!
追記:
『はじまりのうた』で献辞を捧げられている「ジム」は、当時夭折したカーニー監督の長兄である、と後から知った。(しかもマーク・ラファロに投影されているらしい。)だからこそ、比較的間を置かずに『シング・ストリート』を撮ったのかもしれない。2回目観たら、おにいちゃんのシーンがくる度に号泣しそうだし、"For brothers everywhere"がきた日には……
★★★★★
*1:ヒロインの造形がちょっと似てる