グランド・ブダペスト・ホテル


ホテルには、謎がある。お客様にはもっと、謎がある。
当ホテルの“伝説のコンシェルジュ”が挑みます。
2014年ベルリン国際映画祭銀熊賞 (審査員グランプリ)
第87回アカデミー衣装デザイン賞

原題:THE GRAND BUDAPEST HOTEL
監督・脚本・発案・製作:ウェス・アンダーソン
発案:ヒューゴ・ギネス
撮影監督:ロバート・イェーマン
編集:バーニー・ピリング
プロダクションデザイン:アダム・ストックハウゼン
衣装デザイン:ミレーナ・カノネロ
音楽スーパーバイザー:ランドール・ポスター
音楽:アレキサンドル・デスプラ


中学来の親友が児童書の編集者で、わたしも元児童書出版社勤務なので、必然その話をすることが多いのですが。先日ちょうど、彼女が「今の児童書には全然わくわくしない」とこぼしていて。今の児童書の流行というのは、「主人公が苦境を乗り越える」もので、その苦境がいじめだったり、両親の離婚だったり、生臭すぎるのだそうだ。もちろん物語はひとに現実の苦難を乗り越える力を与えるものだけど、それ以前に、何度の引っ越しを経ても記憶と本棚に残りつづける本の魅力は、もっとシンプルに!あふれんばかりのイマジネーションと豊かなディテールからくるわくわく感じゃないのかしら、なんて話をしていて。

次々に展開するすばらしくファンタジックな画にうひゃひゃあと喜びながら、全編を彩る民族調音楽の多幸感に胸を躍らせながら、ちいさい頃、消灯時間を過ぎてもふとんにもぐって「巌窟王」や「怪盗ルパン」を読みふけっていたときのような気持ちを思い出しました。ありがとう、ウェス・アンダーソン


★★★★