お嬢さん

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愛されたくば、騙せ。

英題:THE HANDMAIDEN
監督・脚本・制作:パク・チャヌク
脚本:チョン・ソギョン
撮影監督:チョン・ジョンフン
編集:キム・ジェボ / キム・サンボム
美術監督:リュ・ソンヒ
衣装デザイン:チョ・サンギョン
音楽: チョ・ヨンウク
原作:サラ・ウォーターズ『Fingersmith(荊の城)』


原作のどのエッセンスを柱にするか―は、映画化成功の大きな鍵。舞台は19世紀イギリスから1930年代日本統治下の韓国へ、第三部の大幅な改変、原作者も最初は原作表記にNGを出していた本作。パク・チャヌクが柱にしたエッセンスは自身が語っている通り。「男性の視線、視線の暴力にさらされ続けた女性がそこから脱出し、解放される、それを称える」こと。

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ストーリーや設定は変わっても、そのエッセンスの凝縮がすばらしかったからこそ、結果原作者をも魅了してしまった、なんとも幸せな二次創作だと思う。

さらに言うと、たぶん2人ともヒロインたちに注ぐ視線が似ている。おそらく、ウォーターズは「サクスビー夫人」に、パク・チャヌクは「藤原」に感情移入している。母性や性愛など、愛の種類は違っていて、その違いがそのまま原作と映画の味わいの違いにもなっているのだけれど、ここでも大きな柱は、「若く美しい惹かれ合うふたりの未来のためには、この身を犠牲にするのも本望」という点で一致をみている。

この熱に中てられて、同じ気持ちでヒロイン2人を見守った結果、2人が自由を獲得する瞬間の爽快感・多幸感は鮮烈すぎる。


★★★★