ここでは、45日以内にパートナーを見つけなければ、あなたは動物に変えられます……
原題:THE LOBSTER
監督・脚本・製作:ヨルゴス・ランティモス
脚本:エフティミス・フィリップ
撮影監督:ティミオス・バカタキス
編集:ヨルゴス・モヴロプサリディス
美術監督:ジャクリーン・エイブラムス
衣装デザイン:セーラ・ブレンキンソープ
酌めども尽きぬメタファーと自分だったらどうすべか…という分岐に満ちあふれていて、だいぶおもしろかったです!
『籠の中の乙女』しか観てないけど、この監督は「不条理な枠組」と「人間のさが」との関係に興味があるのかな。テーマの置き方は、鬱々してないラース・フォン・トリアーって感じで、映像のうつくしさは、ヴィム・ヴェンダースを思い出したり。
まず、ルール設定からしてワクワクする。このルールの中でどう生きたいかで人間性がみえる。ちなみに、夫は「貝になって深海で思索に耽りたい」、わたしは「人を狩りまくってホテル延泊しつづけたい」*1などと考えており、お互い結婚むいてない感ビンビン……前のパートナーと別れて45日で、カップルになれるか?そもそもなりたいか?カップルになれなかったとして、なんの動物になりたいか?人間としての最後の日、なにをしたいか?朝まで徹底討論級の質問が次から次へとくり出される。
そしていろいろな試しとその裏に隠されたエモーションの道筋。ひとによって感じかたはちがうんだろうけど、好きなように読み解けるヒントがちりばめられていて楽しい。
- 非情な女がパートナーの肉親を殺してみざるを得なくなったのはなぜか
- 嘘をついたパートナーではなく、それを指摘した第三者を平手打ちするのはなぜか
コメディとしてもかなり秀逸。
★★★★
*1:そういうこともできる