愛なのに

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真っ直ぐで厄介で、否定できないこの想い。

監督・脚本・編集:城定秀夫
脚本:今泉力哉
撮影:渡邊雅紀
照明:小川大介
録音:松島匡
美術:禪洲幸久
スタイリスト:小宮山芽以
ヘアメイク:唐澤知子
助監督:山口雄也


今泉監督に関しては、『あの頃。』『his』が決定的に合わなくてちょっと不安だったんだけど、やはり全員片想い的な男女の関係性を描かせたらあいかわらずの手腕!
程度の差はあれ、みんなちょっとずつ欲や打算やずるさがあるのが秀逸で、それを「愛なのに」と言ってのけるタイトルにうならされた。

基本的にはぐちゃぐちゃの人間模様に笑ってしまうんだけど、常識とか倫理とか家族とかとっぱらって、みんなが一個人として「御心」のままに行動したら、それは「きもちわるい」ことになってしまうのかも?と、笑いながらもちょっと考えさせられてしまった。それでもその身も蓋もないしょうもなさを糾弾せず、ぎりぎり「愛を否定するな!」と言ってくれる映画。


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中島歩さんが好きなんですが、清々しすぎるほどのクズ役で「全員から捨てられろ!」と声援を送って(?)いたら、斜め上の地獄を見せられていて笑い死にした(しかもわたしと同じ名前の女に)。


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あと、瀬戸康史さん。「グレーテルのかまど」のイメージが強かったのですが、くり返される「そうね」の言い方が本っっっ当に良くて、これだけでも観る価値あるなぁと思いました。

そんな二人のどちらを!ほないこかが選ぶのか!?という顛末にものすごく説得力があるのが、なにげに胸をえぐってくる映画でもありました。


★★★★