TITANE/チタン

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頭蓋骨に埋め込まれたチタンプレートが引き起こす「突然変異」。
常識を逸脱した先にある<映画>の未来を受け止められるか。
カンヌ国際映画祭パルム・ドール 2021年度(第94回)

原題:TITANE
監督・脚本:ジュリア・デュクルノー
撮影監督:ルーベン・インペンス
編集:ジャン=クリストフ・ブージィ
プロダクションデザイン:
ローリー・コールソン、リ ス・ピウ
衣装:アン=ソフィ・グレッドヒル
音楽:ジム・ウィリアムズ


ボディ・ホラーや身体損傷描写が苦手なので、「これは無理そうだな……」とあきらめていたのですが、信頼の某店主評が送られてきて、「観ないとだめそうだな……」へ方向転換。

結果、逃さないで本当に良かった。観客の好き嫌いを超越するようなすさまじさと「観たことなさ」。頭の中は「!?!?!?」、心の中は「これなんの感情!?」となっており、よくわからんがすごいものを観せられていることだけはわかる…という感じ。正直最初は「痛…つら…これは途中退出あるかも…」と脱落しそうだったけれど、終わってみれば涙を流しており、もう一度観たいとすら思っている自分がいた。


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このお方が撮ってるんか……
クローネンバーグ、塚本晋也ポランスキー、個人的にはヴァーホーヴェンのメンタリティなんかが頭をよぎりつつも、圧倒的なオリジナリティ。

とにかくメタファーがブッ飛びすぎてて、逆に観客がどのようにでも引き寄せられる度量を持った、とても普遍的なことが描かれているようでもある映画。頭にチタンプレートを埋め込まれた少女、車とのセックス、マチズモの中に潜伏する抑圧された母体、爆発で退場する「良心」、老消防士が母となって取り上げる異形の子、全編にわたって効果的に使われる様々な金属―これらがなんのメタファーなのか考えるのはもちろん、考えなくてもおもしろいのがすごい。

性/愛/善悪/家族/生死の垣根を超えた描写を観つづけていると、逆にその核みたいなものに触れるような、言葉にならない感覚がある。ラストの狂気しかないけど全力で信じてしまう「俺がついてる」、モーターショーとの対比がすばらしい消防車の上でのダンスなどは、ほんとうに様々な感情の濁流にのみこまれるようだった。


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この様々な感情の中には笑いも多分に含まれていて。上記のうつくしく神々しささえ感じられるようなシーンですら笑いが感じられるのが、この映画の味わいだなぁ、と。
マカレナで心臓マッサージ、エンジンオイル母乳、屈強な消防士たちのモッシュ、きわどすぎるステロイド注射芸あたりは、なんかもう笑ってしまった。

★★★★