ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋

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世界を敵にまわしても、あなたさえいれば、生きていける―
20世紀最大のスキャンダルの真実、解禁。
英国王エドワード8世に王冠を捨てさせることとなったアメリカ人女性、ウォリス・シンプソンの人生と、彼女に魅せられた現代ニューヨーカー、ウォリーの物語を交錯させて描く。

原題:W.E.
監督・脚本・製作:マドンナ
脚本:アレック・ケシシアン
撮影:ハーゲン・ボグダンスキー
編集:ダニー・B・タル
プロダクションデザイン:マーティン・チャイルズ
衣装デザイン:アリアンヌ・フィリップス
音楽:アベル・コジェニオウスキ
主題歌:マドンナ『Masterpiece』


ウオーーー!監督マドンナがまたやってくれた!!『ワンダーラスト』との2本で、もうこれはすきな映画監督のリストにマドンナの名前を挙げていいだろうと思いました。今回も見事にエールを送られてしまった。最高ぐっときた。

前作の『Wanderlust』という邦題が、ある意味原題の『FILTH AND WISDOM』よりも作品の熱気をうまく表現していたのに比べ、今回の邦題は残念すぎる。『W./E.』というタイトルがいろいろな含みをもつ良タイトルだからこそ、尚更くやまれる。だってこれどう考えても王室ロマンスの話じゃないもの。

系譜で言えば、『めぐりあう時間たち』を思い出しました。

めぐりあう時間たち [DVD]

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  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: DVD

時代を超えて、女性の生き方に心を寄せるあたり。

また、共にアベル・コジェニオウスキが音楽を、アリアンヌ・フィリップスが衣装を担当している、ということもありますが、テイストやスタイリッシュさは通じるところがあると感じました。


どれもテーマ的には重たいけれど、魅せられる作品。ただし、上記2作が高尚かつ格調高い雰囲気があるのに比べて、マドンナ映画はいい意味で軽薄で、非常に軽妙であるところが味だな、と思います。

今回感じたのは、前作の『FILTH AND WISDOM』というタイトルにもある通り、物事の二面性を描くのがすごくうまい監督なんだなあということ。結果映画にもそれが反映されていて、冷静であると同時にすごくエモーショナルで、とてもビタースイートな映画、という印象を受けました。理性と感情と身体、それぞれの感覚をバランス良く映画に反映させられる監督なんだなあ、と。*1

あとは、なにしろヒロイン像が良い!なにはなくとも観客がウォリス・シンプソンに魅せられないと失敗な映画だと思うのですが、これがばっちり。「美人と言われたことも、肉体的な魅力もないけれど、周りのひとが目を見張るほど着こなしが巧かった」という武器の提示や、若き日にも老いし日にも用意された、とびきりのダンスシーン!!『ワンダーラスト』のストリップシーンも最高だったけど、ダンサー出身のマドンナだからこそなせる業かな。



★★★★★

*1:ウォリスのマスカラが溶けて黒い涙になるのに、ウォーリーのマスカラは落ちないあたりの描写とかさらっとやれるの、ほんとセンス良いと思った