スリー・ビルボード


魂が震える。
3つのビルボードと3人の怒りと愛と秘密。
この映画の行き先は誰にも予測できない!
第90回アカデミー主演女優賞/助演男優賞

原題:THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI
監督・脚本・製作:マーティン・マクドナー
撮影監督:ベン・デイヴィス
編集:ジョン・グレゴリー
音楽:カーター・バーウェル


前評判の高さも頷ける・・・・・・!そこここにはりめぐらされた伏線といい、暗喩といい、徹頭徹尾「よくできている」映画。観ているさなかも観終わった後も考え込まずにはおれないし、めっちゃ批評家ウケ良さそうだなぁ〜・・・。『クラッシュ』の巧さと『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の味わいを思い出したりしました。*1

この映画には「愛する人を亡くしたら」とか「余命いくばくもなかったら」とか、「よく考えても正解がない」ようなことにまつわる選択が山のようにあって、頭が休まる暇がないのに、登場人物(とくにミルドレッドとディクソン)は次々と「取り返しのつかないこと」を積み重ねていくのでなかなか感情が追いついていかない。怒りにまかせてレッドカードを累積しまくっていた2人がラスト初めて逡巡をみせるシーンには希望がもてる。

それにしても、ディクソンは酒場でのレッドへの絡み方からして、「コイツ・・・(自覚あるのか?)」と思っていたけれど。ご丁寧にチキチータ@ヘッドフォンっていう描写入れといてからのあのオレンジジュース(しかもストローこっち向き!)の鮮やかさよ!『ムーンライト』的でもあるね。号泣してしまいましたよ。

あと、ミルドレッドがらみの、元夫の彼女の「怒りは怒りを来たす」という言葉や、小人症のデイビッドとのディナーの顛末など、侮って甘く見ていたひとが、期せずして頭をかち割ってくれる展開もよかったなぁ。

しかし、情報量と思考量のオーバーフローのせいか、初見ではそこまで「好きだ!!!」には至らず。2回目以降の方が良くなりそうな映画だなとは思うけど、今のところは前述の3作品にはかなわないかな。


★★★★