こいつらがいたから、今のストリートがある
原題:ALL THE STREETS ARE SILENT: THE CONVERGENCE OF HIP HOP AND SKATEBOARDING (1987-1997)
監督・製作:ジェレミー・エルキン
ナレーション:イーライ・モーガン・ゲスナー
音楽:ラージ・プロフェッサー
だらーっと観ようと思ってたのに、綺羅星のごとくスター誕生してくるし、「あいつのラップを聴きながら顔を見合わせた」「10年に一度のヤバい曲だと思った」的な煽りを入れてくるので、いちいち「だれ!?なに!?」となり、脳がバッキバキになった。
Jay-ZもBustaもMethod Manもラップうめー!
スケートとヒップホップ、白と黒、東と西、コミュニティの趨勢が貴重な映像と共にわかりやすく整理されていて、とても興味深かった。
クラブ・マーズの話がとにかくおもしろくて!立ち上げたユウキ・ワタナベの構想や、ヴィン・ディーゼルやベン・スティラーがバウンサーをやっていたというエピソード、「モデルはカネを落としてくれる ジャンキーはおもしろい」と客を「ミックス」していたドアマンの話などー。ただでさえブレイク前夜の現場の話はジャンル問わずおもしろいのに、それがスケートとヒップホップの交差点の話なのだからもう!!!
ただ、四半世紀以上このカルチャーを好きだけど完全に部外者の自分は、愛憎入り混じった複雑な思いを改めて感じた。貧富や人種をミックスして爆発したこのカルチャーは、この時期ジェンダーのミックスには至らず、女性の影は驚くほど薄い。Monnie LoveやQueen Latifahへの言及はあったものの、字幕ではカット。*1
また、スケートもヒップホップも「度胸試し」的な要素が評価されるなど、この時期どうしても不可分な”Toxic Masculinity”的ヤダ味を感じざるを得なかった。(『mid 90s』を思い出したりした。)
カルチャーによる熱気やうねりが、あの頃のNYが、ギャングやジェントリフィケーションや資本主義に呑みこまれていく様子にはもちろん、昔無邪気にこのカルチャーを消費していた自分はもう戻ってこないんだなぁという点でも、郷愁を感じたりした。こんな気持ちをエドガー・ライトは『ラストナイト・イン・ソーホー』で昇華したんだろうか。
★★★★